1970年2月14日 2週間1位
Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin) / Sly and the Family Stone
(Sly Stone)
サンキュー/スライ&ザ・ファミリー・ストーン
1969年2月15日にビルボードチャート1位を4週に渡ってキープした「エブリディ・ピープル」から1年、スライ&ザ・ファミリー・ストーンは「サンキュー」で1位に返り咲き、時代の寵児となっていきます。
ファンクミュージックの最重要人物のひとり、スライ・ストーンは1944年生まれ、教会の助祭でギターを弾く父とゴスペルを歌う母のもとで育ち、高校を卒業後サンフランシスコのFM局でDJとなりました。
またプロデューサーとして、ボビー・フリーマンの「カモン・アンド・スウィム」(1964)をビルボード5位に送り込むなど、音楽界での実績を積んでいきます。
1967年にはCBSのエピック・レコーズと契約し、ファースト・アルバム『A Whole New Thing』とシングル「Underdog」を発表しますが、売り上げは芳しいものではありませんでした。
しかし、その後1968年2月のシングル「Dance to the Musiⅽ」でビルボード8位、11月の「エブリディ・ピープル」では1位を獲得、翌69年5月発売のアルバム「スタンド!」は300万枚を売り上げ、8月のシングル「ホット・ファン・イン・ザ・サマータイム」でも2位を記録、全盛期を迎えます。

そして、69年12月発売のこの曲で2度目の王座に就くのでした。
音楽的にはベースのラリー・グラハムが一つのベースラインをスラップ(昔はチョッパーと言ってました)で繰り返し、リズムのうねりを生み出す斬新かつ、どファンクなスタイル。

決してキャッチ‐とは言えない曲がPOPチャート1位になったのは、それだけ当時のスライは勢いがあったのでしょうね。
スライ&ザ・ファミリー・ストーンが「発明」したこのスタイルは、後世に多大な影響を与えました。スライがいなければ後のプリンス殿下の音楽も少し違ったものになっていたかもしれません。
またアース・ウインド&ファイヤーのモーリス・ホワイトも影響を認めています。
そしてバンドの大きな特徴は黒人と白人が混在、歌詞でも人種の融合や平和、平等を表現していたという点です。

公民権運動やベトナム反戦が盛んなこの時代、一つの理想を「天才」スライ・ストーンは確かに追い求めていました。
Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)というタイトルは造語で、「for lettin’ me be myself again」を遊びで変えてみたそうです。自分自身に戻してくれてサンキュー、という感じですかね。
ファンク・ミュージックの元祖ともいえる、特別な一曲です。
Looking at the devil, grinning at his gun
Bullets start chasing I begin to stop
We begin to wrestle I was on the top
悪魔をみている 彼の銃器を笑っている
弾丸が追跡を始め 私は足を止め始める
I want to thank you for letting me be myself again
Thank you for letting me be myself again
私が自分自身に戻れたことを君に感謝したい
そうさせてくれて有難う
Stiff all in the collar, fluffy in the face
Chit-chat chatter trying, I say stuff me in the place
Thank you for the party, but I could never stay
Many things on my mind, words in the way
襟においては酷く堅苦しく 顔においては柔らかく
雑談を試みて 私はここに自分を詰めこめと言う
宴はありがとよ でも私は留まっていられなかった
私の心情における多くのこと この方法での言葉
I want to thank you for letting me be myself again
Thank you for letting me be myself again
私が自分自身に戻れたことを君に感謝したい
そうさせてくれて有難う
Dance to the music, all night long
Everyday people, sing a simple song
Mama’s so happy, mama starts to cry
Papa’s still singing, you can make it if you try
この音楽に合わせて踊れ 一晩中
毎日を生きる普通の人々よ この素朴な曲を歌え
母はとても幸せ 母は泣き始める
父はまだ歌っている やろうと思えば君でも出来る
I want to thank you for letting me be myself again
Thank you for letting me be myself again
(Oh yeah, different strokes for different folks)
私が自分自身に戻れたことを君に感謝したい
そうさせてくれて有難う
(嗚呼 十人十色)
Flaming eyes of people fear burning into you
Many men are missing much, hating what they do
Youth and truth are making love, dig it for a starter
(Now…)
Dying young is hard to take, selling out is harder
人々の激しい瞳が君に焼き付くのを恐れる
多数の男が大切なものを見失っている
彼らがしていることを嫌っている
若さと真実は情交する
開始を合図する人のためにそれを理解しろ
(いま…)
若くして死ぬのは受け入れるのが難しい
節を曲げるのはもっと難しい
Thank you for letting me be myself again
I want to thank you for letting me be myself again
Thank you for letting me be myself again
私が自分自身に戻れたことを君に感謝したい
そうさせてくれて有難う
私が自分自身に戻れたことを君に感謝したい
(和訳出典:A倉R郎さん)
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